細野晴臣氏の「細野観光」という展示会が六本木ヒルズでやっているので、観に行ったところ、90分待ちの大盛況であり、泣く泣くあきらめて、妻と一緒にどうしようか迷っていたところ、TOHOシネマがあって、「記憶にございません!」という文字が目に入って、それが三谷幸喜監督の作品とわかり、二人とも好きだったので、観てみたところ、これが大当たりでした。
まだ上映中なので、ネタバレになってしまうとマズイので、本当に簡単な感想にとどめます。
この映画は、三谷幸喜監督が13年ほど前から構想を練っていた、ぜひやりたいテーマの内容だったそうです。
いわゆる「政界モノ」と言われるジャンルになるのですが、三谷幸喜監督は単なる政界モノではなく、誰もが一度は、「ごく普通の自分が総理大臣になったらどうなるのだろう?」と考えると思いますが、三谷幸喜監督自身が考える「自分が総理大臣になったらどうなるのだろう?」を現した映画とのことです。
①極悪非道で何のポリシーも持たず、周りの人間や家族からも尊敬されず信頼されず、国民にさえ嫌われていた総理大臣が、石をぶつけられたことによって記憶を失って、逆に何のシガラミもなくなって、昔持っていた自分の政治的な理想を取り戻し、周りの人間や家族からの信頼も取り戻し、全てが変わっていくという設定がとても良かったです。有りそうで無い話であり、これは総理大臣でなくても全ての人が当てはまることではないかと思いました。記憶を失えば、全てを変えることができて、ひょっとしたら人生をやり直せるのではないかと。
②総理大臣に扮する中井貴一と、スキャンダルをすっぱ抜く謎のフリーライターに扮する佐藤浩市との長回しの掛け合いが、本当にコミカルで面白かったです。この二人はとにかく笑いを狙っていない素のままのコミカルな演技がとても笑えます。私も思わず笑ってしまいましたが、会場内も何度も笑いのどよめきが起こりました。
③政界モノというと、とかくドロドロとして嫌な雰囲気の作品が多い中、この作品は超悪役のドン役である草刈正雄でさえ、どこかコミカルでドロドロしておらず、「真田丸」の真田昌幸役を思わせる感じでした。
日本映画にありがちな、どこか理不尽で釈然としない終わり方ではないのが、いかにも三谷作品らしいという感じで良かったです。
とにかく本当に笑えて、それでありながら、しっかり感動もするので、とてもオススメです。ご興味のある方はどうぞ!