精神科医で作家でユーチューバーでもある、樺沢紫苑先生の「インプット大全」ですが、やっと書評を書くに至りました。
昨年(2019年)8月2日に出版セミナーに参加して、先生の講義を受けた後に会場で購入したのですが、公私ともにバタバタしていて、なかなか読み終わることが出来ませんでした。
でも、骨太の難しい書籍というわけではなく、とても読みやすい本です。
この「インプット大全」は、一昨年(2018年)8月に出版された「アウトプット大全」の続編というか、姉妹本ともいうべき本です。
「アウトプット大全」は、以前にブログに書いたので、こちらをご覧ください。
樺沢先生いわく、現代は「情報爆発」の時代です。
インターネットが普及して25年ほど経ちますが、パソコンやスマホなど情報機器が発達するに伴って、僕たちが接する情報は爆発的に増えていき、インターネット普及前と比較して、1日の情報量は約5000倍にもなっているということです。
よって、これからは「いかに多くの情報を集めるか」ではなく、「いかに本当に必要な情報を見極め、それ以外は捨てていくか」が必要なのです。
セミナーでも行いましたが、直近の1週間にネットで見たニュースやブログ・SNSなどの情報をどの程度覚えているか、1分間で書き出すというワークを行いました。
僕は5個でしたが、平均は3.9個でした。
毎日毎日スマホやパソコンを見て情報収集しているにもかかわらずです!
1日20個の情報を見たとして、1週間で140個、わずか3%しか覚えてなく、97%は忘れてしまっているのです。
この本は、「インプットの精度を高める」ことが最も必要であり、そのための方法をいろいろな角度から提案しています。
僕が心に響いたところをいくつかご紹介します。
①必要な情報だけを集める方法
まず、必要な情報を集めるためには、自分の中の興味・関心のある分野をはっきりさせることが必要です。
僕の場合は、「ロックやポップス・ジャズなどの音楽」「スマホやPCなどの情報機器」「国際情勢」などに興味があるので、それらのキーワードを全て書き出し、一覧にして時々眺めることが良いそうです。それにより、自分の中に「興味・関心のアンテナ」が立ち、脳が膨大に流れてくる大量の情報を自動的に取捨選択して、ピックアップしてくれるそうです。
また、本を読んだらブログに感想を書いたり、映画や絵画を観た感想を何かの会合で発表するという「アウトプット」を前提にすると、より効率的に精度の高い情報を集めることが出来ます。
②効率的に読む・聞く
この本と出会うまで僕は、バカ正直に、「本とは最初の1ページ目から順番に読んでいくものだ」と思っていました。しかし、いつの間にか途中で読むのをやめてしまい、「積ん読」になっている本がかなりありました。(今でもかなり残っています)
しかし、先生は、それは最も効率の悪い読書法だというのです。
小説の場合はそれでも良いとして、ビジネス書や実用書の場合、まず目次を見て、興味のある項目をピックアップし、そこから読んでいく「パラパラ読み」を勧めています。そうすると、だいたいの本の内容と、自分が知りたかったことが、ものの15分程度でつかめるそうです。
僕もこのやり方で読書を始めてから、だいぶ読書のスピードが早くなったようです。
また、セミナーなどで、よく「このセミナーの講師の言葉を一字一句聞き漏らさず、メモを取るぞ!」というとても勉強熱心な方がいます。僕もその一人で、最初のプロローグの話から、最後の質疑応答まで、フル回転でメモを取っていました。
でも、最後のアンケートを書こうとしても、なぜか言葉が浮かばず、帰宅して妻にセミナーの内容を話そうとしても、しどろもどろになって、うまく話せないことがよくありました。
なぜだろう?と思っていましたが、この本を読んで、やっとわかりました。
先生は、このようにフル回転でメモを取ることを否定しています。
セミナーを受講するということは、講師の表情や身振り手振りなどの「視覚的な非言語的情報」を見て、理解することが重要なのだそうです。
これを見ないで、下を向いてメモばかり取っていると、これらの非言語的情報を受け取ることが出来ないため、理解力・記憶力が下がるのだそうです。
また、脳科学研究では、メモをたくさん取ると記憶力が低下するそうです。
これらのことから、「前を向いている時間」と「下を向いている時間」の比率は、「7:3」もしくは「8:2」で良いのだそうです。
③学びを欲張らない
上記②に関連することですが、セミナーなどに参加した場合、「全てを吸収してやるぞ!」と意気込むほどに、脳はパンクして全部忘れてしまうそうです。
人間の脳は、キャパシティがとても大きいようで、実は入口はとても狭いので、一度に記憶して処理できる情報は、たいていの人は3つまでなのだそうです。
先生も言っていますが、2~3時間もあるセミナーの最初から最後までを、一言も聞き漏らさない集中力マックス状態を維持することは、最初から無理な話です。
逆に言えば、「3つの気づき」を得られれば、それで充分なのだそうです。
【まとめ】
この他にもとても興味が惹かれる内容がいくつもあるのですが、これ以上ご紹介すると、1万字を超えてしまいそうなので、やめておきます。
270ページと、とてもボリュームがある本ですが、ほとんど全て見開き2ページで構成されており、わかりやすい図解や挿絵、最後のまとめでポイントがつかめるので、とても理解しやすいです。
現在は「アウトプット」の時代と言われていますが、それは質の良いインプットがあってこそです。
この「超情報過多」の時代、情報を取捨選択することは、とても大変なことですが、この「インプット大全」を読めば、かなりの部分が解決できると思います。
「アフターコロナ」に備えて、読んでみてはいかがでしょうか。
↓