肥満と薄毛からの脱出!「背水の陣」に直面した中年男の日記

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村上春樹 produce MURAKAMI JAM いけないボサノヴァ

もう2週間経ってしまいましたが、2月14日のバレンタインデーの日に、村上春樹2回目のプロデュースとなる「MURAKAMI JAM」のボサノヴァ編とも言うべき、「いけないボサノヴァ」がTOKYO FM開局50周年も記念して、行われました。

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「MURAKAMI JAM いけないボサノヴァ」オンライン配信のオープニング画面 

コロナ禍のもと、約1年半ぶりに行われたとのことで、今回は会場は100人限定となり、確か20000円くらいだったと思います。僕たちは3,500円の前売り券を購入し、自宅で鑑賞しました。

今回の出演者は、村上春樹はもちろんのこと、司会兼歌は坂本美雨音楽監督はジャズ界のベテランの大西順子で、サックスやドラム・ギターなどのバック演奏は、大西順子率いるバンドが担当しました。

日本のボサノヴァ第一人者と言われる小野リサ、フリージャズの巨匠の山下洋輔も参加し、とてもすばらしい音楽イベントとなりました。

しかし、何と言っても、あの村上春樹が話し、動く姿を生で見られるということが、一番の楽しみでした。

 

第一部と第二部に分かれ、第一部は小野リサがボーカル兼ギターで、バック演奏は大西順子とそのバンドという、ボサノヴァとジャズがミックスしたような、スリリングかつスペシャルな演奏となりました。

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小野リサ大西順子

全4曲で、アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲である「Samba De Uma Nota Só (One Note Samba)」「Chega De Saudade」「Corcovado (Quiet Nights)」「Agua De Beber(おいしい水)」が演奏されました。

「Chega De Saudade」は、ボサノヴァで初めて録音された曲だと、小野リサが話していました。

 

しかし、まあ、大西順子のピアノによるアドリブ演奏がスリリングかつ見事で、通常のボサノヴァのコンサートではまず味わえないのではないかというピアノの鍵盤さばきで、煽るような演奏で、小野リサをちょっと圧倒していたような感じがしました。

小野リサもにこやかに一所懸命歌っていましたが、一曲目の「One Note Samba」や「おいしい水」で、ちょっと音程を外す場面があったり、少し緊張した表情が見受けられ、心なしかちょっとやりにくいような印象を受けました。

でも、このボサノヴァとジャズを融合させたような演奏、小野リサ大西順子の初めての共演は、とても素晴らしいものでした。

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村上春樹坂本美雨のインタビューに答える小野リサ

 

第2部は、日本のクラシックギターの第一人者である村治佳織が出演しました。

素晴らしいギターの演奏で、数曲披露してくれましたが、何と言ってもクライマックスは、村上春樹の朗読と、村治佳織のギター演奏のコラボレーションでした。

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村上春樹坂本美雨のインタビューに答える村治佳織

村上春樹が朗読する「1963/1982年のイパネマ娘」に合わせて、村治佳織が「イパネマの娘」を静かに演奏するというものですが、何ともいえない非日常的な、というか、ノスタルジックな懐かしさを感じさせるというか、言葉では言い表せない不思議な感覚に囚われた素晴らしいひとときを過ごしました。

カンガルー日和」に収められていた短編ですが、この機会に読み直してみようと思います。

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「1963/1982年のイパネマ娘」を朗読する村上春樹と、「イパネマの娘」を演奏する村治佳織

 

次は、ジャズ界の巨匠、山下洋輔が登場しました。

ボサノヴァが登場した頃の山下洋輔の状況や、ボサノヴァとの関わり、山下洋輔フリー・ジャズへ至るまでの経歴など、村上春樹がかなり突っ込んでインタビューしてくれたおかげで、なかなか興味深いエピソードを聞くことが出来ました。

特に、ヴァーヴ・レコード50周年記念のイベントに呼ばれた時は、ジョビンの横に座っていたそうで、ジョビンがインタビューで「かなりジャズの影響を受けたのでしょうか?」という質問に対し、「いえ、私はジャズは知りません」などと答えていたエピソードはなかなか面白かったです。

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興味深いエピソードを話してくれた山下洋輔

2013年に発売されたスタン・ゲッツのトリビュートアルバム「Getz/Gilberto +50 」で、坂本美雨山下洋輔は共演していたようですが、今回はライブでの初めての披露ということで、「Desafinado」を演奏しました。山下洋輔の演奏も素晴らしかったですが、坂本美雨のあの透明感のある夏の清涼飲料水のような歌声はとても素晴らしかったと思います。これを聴けたのはとても貴重でした。

 

ただ、坂本美雨が素晴らしい歌声を披露した後に、山下洋輔大西順子の初めての共演となるのですが、坂本美雨は、こんな事を言ってしまいました。

「先ほど、リハーサルの時に、大西順子さんが山下洋輔さんのことを「ヨウスケちゃん」「ヨウスケ」と呼んでいるのを耳にしました。山下さんのことを「ヨウスケ」と呼ぶんだと、ちょっとビックリしました。」

すると、すかさず、大西順子が手を横に降って、それは他のメンバーのことを言ったんだと、ジェスチャーで示しました。

坂本美雨はすぐに勘違いしていたことを謝りましたが、その後しばらく気まずい雰囲気が流れ、大西順子山下洋輔のことを「山下巨匠」とわざわざ言い直して、山下洋輔と初めて共演すること、山下洋輔とのエピソードや、畏敬の念を話すなど、ちょっと怒っている感じはすぐに感じ取ることが出来て、ちょっと坂本美雨が気の毒でした。

「Desafinado」で山下洋輔と共演して上手く歌うことが出来て、その満足感からか、つい不要な話をしてしまったのでしょう。こういうことはよくあることです。

まあ、このようなことはありましたが、初めて二人が共演した「Só Danço Samba」はとても素晴らしいものでした。山下洋輔がピアノ、大西順子がキーボードを弾いての共演でしたが、山下洋輔フリー・ジャズ風のスリリングな素晴らしいピアノはまさしく圧巻でした。

 

最後は、全出演者が揃って、「イパネマの娘」を演奏しました。

ボーカルは、小野リサ坂本美雨の二人が歌いましたが、小野リサはイマイチ元気がない感じで、坂本美雨の透明感のある歌声のほうが目立っていました。

小野リサはジャズとの共演はあまり得意ではないのでしょうか。また、別の機会に聴いてみたいと思います。

 

全体を通して、とても素晴らしい内容のライブでしたが、ところどころ素人的な様子も見受けられました。(インタビューするのに、スタッフがゲストにマイクをなかなか渡さなかったり、カメラワークがまるで素人のデジカメのようでした)

また、村上春樹が従来のイメージとは違って、意外とファニーで天然的な面白い人だということがわかったのは、とても大きな収穫でした。

イパネマの娘」の演奏が終わり、最後の終演の挨拶のとき、村上春樹は軽く会釈をして、一人出ていこうとしたところを、坂本美雨が「ちょっと待ってください!」と言わんばかりに留めようとしたところを、村上春樹が振り切って出ていこうとしたところで、映像は終わったのも、何とも笑いを誘いました。

 

今回の「MURAKAMI JAM」の記念として、オフィシャルグッズがTOKYO FMの公式ショッピングサイトで販売されています。

僕は、村上春樹がライブ中に紹介していた、アメリカの「Good on」とコラボしたネイビー色のTシャツ、オリジナルマグカップとトートバッグを購入しました。

まだ在庫はあるようなので、ご興味のある方は下記のリンクからどうぞ!

shop.tfm.co.jp

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「Good On」とコラボした「MURAKAMI JAM」のオリジナルロゴTシャツ 村上春樹が「特別な布で作ってあって、洗うと色がキレイに落ちる」と説明し、坂本美雨が爆笑していました。まあ、「洗うといい味わいの色になってくる」と言いたかったのでしょう。僕も購入しましたが、生地が硬くて丈夫そうでした。

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僕が買った商品です。Tシャツは村上春樹の言う通り、オススメです。