先日2021年3月19日、スティングがこれまでの膨大なキャリアの中で、素晴らしいアーティストとデュエットした曲を収めた「Duets(デュエッツ)」というアルバムが発売されました。
スティングは前回2019年に自身のソロ曲及び所属していたポリス時代の曲をセルフカバーした「My Songs」というアルバムを発売して、大ヒットしました。
近づく70代に向けて、熟成された「今」の自分の魂を、過去の曲に込めたようで、とても素晴らしいアルバムでした。
今回のアルバムは、自身と縁のあった素晴らしいアーティストとコンビを組んで発表した曲をコレクトしたアルバムということで、また違った味わいが感じられました。
この中で、僕が気に入った曲を簡単にご紹介したいと思います。
1⃣ 「It's Probably Me」 with Eric Clapton
1987年スティングのソロ2作目の「Nothing Like The Sun」に収められていた曲で、ダニー・クローヴァーとメル・ギブソン主演の「リーサルウェポン3」のために書いた曲とのことです。エリック・クラプトンのギターリフが印象的な曲ですが、元々クラプトンが書いていたインストゥルメンタル・バージョンが先にあって、これをスティングが仕上げたとのことでした。
クラプトンは、何度かスティングのソングライティング能力を高く評価する発言をしていたとのことで、「Nothing Like The Sun」のアルバム制作にギタリストとして参加し、翌年の東京ドームでの自身の25周年記念のライブにスティングを飛び入り参加させた経緯があったそうです。
この二人がこれほど仲が良かったとは知りませんでした。
とてもハードボイルドで、落ち着いた雰囲気の曲で、夕暮れの都会のバーが似合いそうな曲です。
2⃣「Desert Rose」 with Cheb Mami
1999年発表のアルバム「Brand New Day」に収めれていた、とてもエスニックで、特徴のある曲です。
このころ、スティングはパリに住んでいたそうで、アルゼンチンの「ライ・ミュージック」に強く惹かれていたそうです。
このアルバムは世界を回りながら、作っていったアルバムで、パリで出会ったアルゼンチンのアーティスト「シェブ・マニ」を招いてコラボしたそうです。
とても力強さと、異空間にいるような錯覚を思わせる曲で、僕は大好きです。
3⃣「My Funny Valentine」 with Herbie Hancock
言わずと知れた偉大なジャズ・アーティストであるハンビー・ハンコックですが、2005年ころはスタンダード曲を中心に数多くのアーティストとコラボした曲を集めたアルバムを制作していました。
スティングもハンコックから声をかけられ、「はい!」と即答したそうです。
曲はとても美しいジャズのスタンダード曲で、スティングの声質にピッタリの曲です。
何回聴いても、飽きません。
スコッチ・ウィスキーのダブル・ロックを、深夜のバーでグラスを傾けながら、聴いてみたい曲です。
今はコロナで無理ですが・・・
4⃣「Fragile」 with Julio Iglesias
1995年の映画「レオン」のエンディング曲だった、この美しい曲「Fragile」は、1987年発表の「Nothing Like The Sun」に収められていた曲です。
ラテン音楽と欧米音楽の橋渡しの役を務めたフリオ・イグレシアスが、1994年のアルバム「クレイジー~心の炎」でこの曲を取り上げ、スティングをギタリストに招いて演奏されたスペシャルなテイクです。
フリオ・イグレシアスといえば、僕がまだ中学生だった1980年代前半に、日本でも爆発的にヒットしたラテン・アーティストでしたが、当時はいわゆる金持ちのおばさま方が夢中になっていた印象が強く、その甘いボイスとラテン・ムード音楽的な作品は、どうもあまり好きになれませんでした。
でも、こうして時を超えて聴いてみると、何とも言えない素晴らしい声で、この曲のすばらしさを引き立てています。
今年は60代最後の年だそうですが、まだまだ僕たちを楽しませてくれる作品を発表してくれそうです。
このアルバムは、スティングと他のアーティストとのコラボで、スティングの違った面を存分に感じられる作品です。
ぜひ、一度聴いてみてください。
※YouTubeもやっておりますので、ぜひご覧になってください。