前回の続きです。
右眼の手術を終え、今回は左眼の手術のお話をします。
右眼の手術を終えて、2ヶ月が経ち、ようやく右眼の調子も落ち着いてきました。
遠くの方がぼやけて見えたり、視界の上の方や横の方に、黒い影が見えたりしていたのですが、こういった状況もなくなってきて、もちろん僕をさんざん悩ませていた、黒い糸くずやゴミのようなものは全く無くなり、右眼はスッキリとした感じになりました。
そして、右眼の手術からちょうど2ヶ月後の7月10日に左眼の手術を受けることになりました。
前回と同じように、妻に付き添われて、朝8時半までに深作眼科の横浜院に行き、相変わらずの混雑の中を待っていました。
何回も通って、慣れていたので、検査に呼ばれるまでは、1階の「伽羅(がら)」という、深作眼科経営のレストランで、コーヒーを飲んだり、時には早いランチを食べたりして、待っていました。
ほとんどの患者さんたちは待合室で待っていたので、レストランは天井が高く、広々としていて快適なのに、それほど混んではいませんでした。
値段はそれほど安くはなく、それでいて、フランス料理のコースメニューのような上品な盛り付けと量でしたから、それも混雑しない理由だったのでしょう。
午前11時ころになって、やっと検査に呼ばれ、眼圧検査や視力検査など一通りの検査を終えると、前回と同じように、奥の検査室に呼ばれました。
アメリカから取り寄せた特殊な機械を使って、眼の状況を精密に確認し撮影しました。眼の精巧な断面図も撮影しました。
その後、また待合室でしばらく待った後、診察室の前で待つように呼ばれ、12時半ころに、中原先生の診察室から入るように呼ばれました。
中原先生は、いつものように僕の両眼を顕微鏡を使って、かなり細かく観察し、にこやかにこう言いました。
「○○さん、右眼はだいぶ良くなっていますね。出血の血液もすべて硝子体に吸収されたようだし、以前のような濁りも無くなりましたね。硝子体の手術をすると、白内障になりやすくなるのですが、水晶体も診たところ問題ないです。」
「今日はもう片方の左眼の手術ですね。前回と同じですから、気を楽にしていてくださいね。」
「それでは、また後で手術室でお会いしましょう!」
中原先生は手術の成功の手ごたえを充分感じているようで、僕も安心しました。
その後、エレベーターに乗って、手術室のある階まで行き、前回と同じように、あの狭い待合室で待っていました。
前回と同じように、たくさんの患者さんたちが、皆一様に黙ったまま、静かに待っていました。
すでに前回手術を経験したので、今回はほとんど不安感はありませんでした。
前回と同じように、7時間くらい待たされたのでしょうか。
診察前に、いつも瞳孔を開く目薬をさされるので、その目薬が効いている間は近くの文字は読めなくなります。
この目薬は8時間ほど効果が継続するので、その間はスマホを見たり、本などを読んだりすることが出来ず、それは結構ツラかったです。
なので、代わりに音楽やラジオをひたすら聴いていました。
前回と同じように、僕が最後となり、午後8時近くになって、ようやく呼ばれ、手術室の前の処置室に入っていきました。
処置室で、血圧を測って、採血され、点滴を施されて、また待つことになりました。
すると、しばらくして、中原先生が手術室から現れ、
「やあ、○○さん、お待たせしました。前回と同じですから、何も心配ないですよ。」
とにこやかに僕に言いました。
「また、球後麻酔(きゅうごますい)の注射しますからね。これは結構痛いから我慢してくださいね。」
「あと、絶対眼を動かしたり、まばたきなどしないでくださいね。」
これだけはかなり緊張しました。
下のまぶたを注射針が突き刺して、左眼の下部に針が刺さり、麻酔液が注入されるのですが、これが結構痛い!
刺されている間、かなりの長い時間に感じられましたが、無事終わりました。
すると、ほどなくして、左眼の視界が万華鏡のようになり、オレンジの断面のように視界が約6等分され、しばらくして電源が切れるみたいにブラックアウトして、全く見えなくなりました。
でも、同時に、ほろ酔い気分になり、なぜか精神的に安定してきて、手術前だというのに、不安感はあまりありませんでした。
しばらくして、看護師さんに車椅子に乗せられ、手術室に運ばれました。
そして、中原先生が僕の左眼に照明を当て、顕微鏡で細かく見ていました。
「○○さん、今回は左眼ですね。大丈夫ですよ。前回と同じように楽にしていてください。それでは始めますね。」
今回も僕の眼の状態は、大きなモニターに映し出され、それを見ながら先生は手術をしているようでしたが、僕の左眼は完全にブラックアウトして、何も見えず、何の感覚もありませんでした。
手術をしながら先生はいろいろと話しかけてきました。
「○○さんの硝子体と網膜はものすごく癒着が強いんですね!いやあ、これは体質なんですね。」
硝子体というのは眼球の大部分を占めるゼリー状の物質ですが、その中に飛蚊症の原因となる濁り物質があり、それを取り除くために、硝子体と奥の網膜を剥がしているようでした。
ただ、癒着が強くて、なかなか剝がすのに苦心しているようでした。
自分が手術をしてもらっていながら、とても繊細で精密さを要求される手術なんだなあと、改めて中原先生の技術力の高さに感心しました。
そして、約40分ほどして、手術は終わり、先生はこう言いました。
「いやあ、左眼の方が濁りは多かったですね。ちょっと今回の左眼の方が出血が多いと思いますが、しばらく安静にしていれば大丈夫ですからね。」
しばらく処置室で、約15分ほど休み、待合室に出て、妻に車椅子を押してもらい、宿泊する病室に連れて行ってもらいました。
今回は個室ではなく、もう少し安価な二人部屋でした。
病室で、遅い夕食を取り、寝る前の目薬をさすために、包帯や眼帯を取りました。
今回は、手術が難航したのか、前回の右眼の時よりも痛みが多く出ていて、ズキズキする感じがありました。
「どんな感じになっているだろう?」
期待と不安に包まれながら、左眼を開けてみると、
「あぁ!」
前回右眼同様、僕をさんざん悩ませていた、黒い糸くずやゴミのようなものはすっかり無くなっていました。
これで、めでたく両眼とも、黒い糸くずやゴミのようなものが無くなり、飛蚊症から解放された眼となったのです。
しかし、鏡を見ていると、眼は出血により真っ赤になっていて、ズキズキと痛みが多い感じでした。
でも、その晩も、痛みがありながらも、手術の疲れから、一瞬で眠りに落ちていったのでした。
(次回に続く)
※YouTubeもやっておりますので、ぜひ下記のリンクからご覧になってください。