前回のブログでは、僕が2017年8月に三度目の手術に成功して、その後の経過観察と、その後の深作眼科の様子について、お話しました。
2019年11月の中旬、僕は本当に久しぶりに中原先生の診察を受けることになりました。
深作眼科に行く頻度は落ちていましたが、鈴木先生や他の先生の診察を受けることが多くなり、中原先生の診察を受けるのは、約1年ぶりでした。
「やあ、○○さん!本当に久しぶりですね!どうですか?眼の調子の方は!」
いつもの小気味良い、テノール調の声を聴いて、僕は懐かしさと同時に、強い安心感を覚えました。
「ええ、おかげさまで、すこぶる調子は良いです。もうあれから飛蚊症の濁りは全く感じられなくなりました。ただ、老眼はどんどん進んでいるようで、ハズキルーペをかけないと、見えづらくなってきました。」
「そうですか・・・」
そう言って、中原先生はいつものように、顕微鏡で僕の両眼を丹念に注意深く観察し、目を離すと、こう言いました。
「まあ、老眼は目の周りの筋肉の調整力の問題ですね。これは年齢的なものが影響しています。」
「私が行った硝子体手術による影響は無いようです。飛蚊症の濁りはもうだいぶ吸収されていますね。」
「もう僕の手を離れても、大丈夫ですよ。診察を終了しても構わないですけど、気になるようでしたら、3ヶ月に1回くらいで問題無いですよ。」
そして、おもむろにこう言いました。
「ただ、今後ですね。50代・60代と年を取っていくと、水晶体の問題は必ず出てくると思います。それは白内障です。その時は、この病院でもいいですし、僕のところに来てもらっても構いません。」
「ハッ?」と耳を疑いました。
「この病院でもいいですし、僕のところに来てもらっても構いません。」という言葉が引っ掛かりました。
(どういうことだろう?)
思い切って、尋ねてみました。
「先生、今おっしゃった『この病院でもいいですし、僕のところに来てもらっても構いません。』とは、どういうことでしょうか?ひょっとして・・・」
中原先生は、ハッとした表情になり、ついつい言ってしまった…という感じで、こう言いました。
「実はですね‥僕、この病院を辞めて、一人でやっていこうと考えているんです。」
(えっ?マジかよ・・中原先生まで・・)
僕は非常に驚いてしまい、すぐに質問しました。
「本当ですか?次の場所は決まっているのですか?」
「いやあ、この場で次に行く場所を言うのは、道徳的に問題があるので、言えないんですよ。まあ、いわゆる個人クリニックです。」
「私もそろそろ独立して、自分自身の力を試してみようと思いましてね。この病院でも力は発揮できるのですが、自分自身の病院を持ちたいと考えているのですよ。」
日本ではなかなかこれほどの難しい手術が出来る先生はいません。
もちろん、院長の深作先生や、鈴木先生も高度な手術が出来る素晴らしい先生ですが、僕の眼の飛蚊症の手術を3回にわたって行ってもらい、成功に導いてくれた中原先生とせっかくご縁があって知り合いになれたのですから、これで縁を切らすわけにはいきません。
「もう先生の病院は具体的に決まっているのですか?」
「いやあ、これからですよ。自分自身の病院を立ち上げるというのは、なかなか大変でしてね。そう簡単には出来ないんですよ。しばらくはフリーでやっていこうと思っています。」
「そうなんですか・・それじゃあ、先生とは連絡が取れなくなってしまいますね。僕はこれからも先生にお世話になりたいと思っているんですが、どうすればいいでしょうか?」
「いやあ、大丈夫ですよ。○○さんも登録していただいているYouTubeがありますので、そこにコメントでメッセージ送ってください。必ず僕の病院が決まったら、お伝えしますよ。」
「先生!これからもよろしくお願いします!」
中原先生と僕は固い握手を交わし、僕は診察室を後にしました。
その後、中原先生は2019年11月いっぱいで深作眼科を辞められたようで、深作眼科のホームページを確認しましたが、名前はありませんでした。
僕と妻は、その後の中原先生の行方が気になり、事あるごとにパソコンなどで中原先生の名前で検索しました。
すると、中原先生は全国を股にかけて、いろいろな病院に招かれて、フリーの医師として、存分に腕を振るって活躍しているようでした。
翌年2020年はコロナ禍の時期に差し掛かっていましたが、それでも全国を渡り歩いて、まるで武者修行のように活躍されているのが確認できました。
僕たちはそれを見て、とてもうれしく、頼もしい思いで、見守っていました。
そして、2021年も春を迎え、暖かくなったある日、妻が興奮して、喜び勇んで僕に話してくれました。
「中原先生、眼科クリニック立ち上げたみたいだよ!しかも場所は町田駅前!」
実は僕たちは町田市内に住んでおり、まさか自分たちの街に中原先生が自分の病院を立ち上げるとは思ってもいませんでした。
「マジ?!じゃあ、さっそく行ってみよう!」
数日後の土曜日の午前中に僕たちは診察も兼ねて、行くことにしたのでした。
(次回に続く)
※参考に、中原眼科のホームページのリンクを貼っておきます。
※こちらは、中原先生のYouTubeリンクです。実際の眼を手術している動画ですので、眼科の執刀医を目指す方には、とても参考になると、中原先生もおっしゃっていました。
※YouTubeもやっておりますので、ぜひ下記のリンクからご覧になってください。