音楽家の松任谷正隆氏が、2017年秋に出版した「松任谷正隆の素」を読みました。
松任谷正隆氏は、言わずと知れたユーミンこと松任谷由実氏の夫であり、ユーミンの全楽曲の編曲及びプロデュースを行なっている、素晴らしい音楽家です。
1970年代前半にはあの細野晴臣氏が率いる「キャラメル・ママ」「ティン・パン・アレイ」のキーボーディストとして活躍していました。
最先端のファッションや車にも詳しく、1980年代の、僕がまだ中高生の頃、よくユーミンのレコードのライナーノーツを読むと、作詞作曲松任谷由実、編曲松任谷正隆と書かれており、それを見るといつも「この松任谷正隆と言う人はどんな人なんだろう?」「あのユーミンの旦那さんだから、さぞかしハンサムでカッコ良く、ちょっと理知的な雰囲気のする人なんだろう」と勝手に想像していました。
そして、大人になって松任谷正隆氏の書いた本を読むようになり、見事にそのようなイメージは崩れ去りました。
正隆氏の書く文章は、とてもニヒルな感じで、ひねりが効いていて、それでいて軽快で、なかなか面白いのです。
山手育ちながらなかなか庶民的な面もあり、普通の男がよく遭遇するような、しょうもないトラブルや恥ずかしい体験や思い、プライドや見栄のために大変な思いをしたり、有名人なのに普通に物欲に振り回されたり、そういったことを赤裸々に綴っていて、とにかく人間味あふれる人なのです。
この「松任谷正隆の素」は、そんな正隆氏の小学生時代から、中高生・大学時代までの、いわゆる氏の「自伝」的な話の内容となっています。
正隆氏をよく知らない人は、よく著名人というか、偉人にありがちな「武勇伝」的なものを想像すると思いますが、そこは正隆氏、とても「人間的」で、僕たち普通の男でも共感する内容なのです。
正直、親しみが湧いてきます。
前置きが長くなりましたが、読んで印象に残ったことを5つご紹介したいと思います。
松任谷正隆氏は、幼少の頃からいわゆる「モノ」に対する興味がすさまじく、オーディオや時計、スニーカーやコート、万年筆や楽器など、その当時の最新のものに大変興味を持っていて、それらを研究し、手に入れようとする熱意は人並み外れていたようです。
その中でもオーディオは、正隆氏が「モノ」への興味を持ち始める出発点であり、格別の思いがあったそうです。
そしてこの境地に達し、正隆氏が心に浮かんできたのは、次の言葉でした。
この言葉に僕は深い感銘を受けました。
音楽家らしい正隆氏の見解ですが、これが結局のところ、何事も判断する基準ではないかと思います。
ここまでで、かなり長くなってしまいましたので、続きはまた次回にしたいと思います。
※YouTubeもやってますので、ぜひこちらもご覧になってください。