前回の続きです。
出勤の月曜日の朝。
目が覚めると、前日までとは打って変わって冷たい雨が降っていて、温度は10度を切っていました。
「スゴイ寒いなあ」と思って、妻に声をかけようとしました。
しかし、声が出ませんでした。
「アレ?」と思い、思いっきり声を出してみると、まるで自分の声とは思えない奇妙な低い声しか出ませんでした。
熱を測ってみると、37度2分で微熱があり、フラフラした感じで、明らかに調子が悪い感じでした。
その日は、僕の会社の社運を賭けた、うどんの店が渋谷に出店し、そのレセプションの日なので、ちょっと休むわけにはいきませんでした。
調子の悪い身体にムチを打って、冷たい雨の中、バスと電車を乗り継いで、渋谷に向かいました。
現地に着くと、すでに出店担当の同僚が来ていて、店前の調査をしていました。
「おはようございます。○○さん、なんか顔色が悪いですね。」
「そうなんですよ。風邪をひいたみたいで、今朝も熱が37度2分あったですよ。」
「えっ?マジっすか?まさか、コロナじゃないですよね?」
「まさか、大丈夫ですよ。」
僕が店の中に入ると同時に、同僚は
「熱があるって、言わない方がいいですよ。」
と後ろから声をかけてきました。
カウンターに座り、うどんを平らげた後、僕はハッとしました。
コロナだったらヤバいよなあ・・・。
陽性者が出たら、オープン早々この店はいったん休業しなければならないよなあ・・・。
そう思うと居ても立ってもいられず、即座に店を出て、帰宅することにしました。
途中、コロナ検査所がありましたが、もし検査して陽性だったらと思うと恐ろしくなり、その前を素通りして、一目散に電車に乗って帰宅しました。
無理に外出したおかげで、帰宅してから一層体調は悪くなり、翌日は有休を取って、休むことにしました。
熱はなぜか夜間寝ている時に37度台前半まで上昇し、昼間は36度台後半に下がるという感じでしたが、基本的には終日ダルくて何もする気が起こらない、絶不調の状態でした。
有休を取って休んでも調子が悪いので、その翌日の水曜日、意を決して病院に行くことにしました。
コロナなのかどうなのか、不安ではありましたが、このまま不安な状態を続けるわけにもいかず、「えーい、ままよ!」という気分で、コロナ検査を行っている近所の病院を片っ端から調べてみることにしました。
しかし、意外にもコロナ検査を行っている病院はそう多くはなく、電話してみると、「今は検査はやっておりません」とか「院内感染が発生したため、現在は中止しています」などといった返答ばかりでした。
よくコロナ患者を受け入れてくれる病院が無いとか、たらい回しにされるとか、耳にしたことがありましたが、こうやって自分で調べてみると、その実態の片鱗がうかがわれるような気がしました。
そんな中で、やっと近所の診療所でやっていることがわかり、行ってみることにしました。
(次回に続く)