不安だった手術が終わり、僕はまだ意識がぼんやりしたままの状態で、ベッドに横たわりながら、病室に運ばれていきました。
前回の続きです。
病室にたどり着き、元の位置にベッドを固定され、看護師さんから補助してもらいながら、検査着から入院着に着替えました。
看護師さんから、「手術は無事成功したので、後ほど先生が説明に伺います。」と言われ、意識が朦朧としていながらも、その言葉を聞いて、ひとまず安心しました。
「これから、約6時間くらいは、しっかり出血を止めるため、絶対安静となります。右脚付け根にカテーテルを挿入したので、下半身は絶対動かさないようにしてくださいね。」
「上半身は少し動かしてもいいですが、ほぼ寝たきりとなります。お飲み物を飲むときはペットボトルストローをお使いいただきたいのですが、お持ちでしょうか?」
入院前の説明で、寝たきりになるので、ペットボトルストローを用意した方がいいと言われていたので、きちんと用意していました。
ペットボトルストローとは、キャップに長いストローが装着されていて、ペットボトルに簡単にはめ込むことが出来ます。
ストローが長いので、ちょっと首を伸ばすだけで、ストローを口にくわえて、飲むことが出来ます。
東急ハンズで確か500円ほどで購入しました。
そして、看護師さんに、買ってあった麦茶のペットボトルに装着してもらいました。
僕が身体を必要以上に動かさなくてもいいように、身体を少し起こした態勢で、ベッドの傾きを調整してもらい、物を置く台をすぐ左の脇あたりに移動してもらいました。
ほどなくして、看護師さんは出て行きました。
カテーテルを挿入した右脚の付け根のあたりは、出血を止めるため、しっかりと包帯やガーゼが装着されていました。
そして、ふと首の右あたりにガーゼがしっかり貼ってあるのに気づきました。
どうやら、右脚の付け根だけではなく、首の右側からもカテーテルを挿入したようでした。
時間は午後2時半ころだったでしょうか、手術後の疲れや麻酔の影響などもあり、また眠ってしまいました。
少し経って目を覚ましては、また眠ることを繰り返し、そのうちに気分が悪くなってきたことに気づきました。
なんか、こう、ムカムカして、吐き気のようなものを催していました。
そして、貧血のような血の気が引いていくような気分の悪さも生じていました。
ちょうど様子を見に来た看護師さんに、そのことを伝えると、看護師さんはこう言いました。
「たぶん、カテーテルを挿入して、心臓の変な電気信号を出している部分を焼き切ったので、その炎症やショック症状が生じているのだと思います。」
「あと、強い痛み止めの薬を点滴で入れましたので、その副作用もあると思います。安静にしていれば、次第に収まってくると思います。」
そう言われたのですが、これはなかなか不快で、しばらくはグッタリしていました。
午後6時ころになって、担当の先生方4人が病室に様子を見に来ました。
「どうですか、リラポンさん。」
「今回はありがとうございました。気分が悪いので、ずっと寝ていました。」
「ちょっと右脚の付け根と首の右側を見せてください。」
出血がきちんと止まっているのかが、かなり心配なようで、じっくりと一通り見た後、僕に説明してくれました。
「出血はほぼ止まっているようなので、引き続き安静にしてください。あと、手術自体は成功しましたので、ご安心ください。」
「ありがとうございます。今回は右脚の付け根だけでなく、首の右側にもカテーテルを挿入したのですね。」
そう質問すると、TOKIOの城島茂に似たT先生が、こう言いました。
「ええ、より治療がうまくいくように、首からも挿入しました。これは普通のことなので、ご心配ありません。」
そう言われ、僕はひとまず安心しました。
気分の悪さはとりあえず一段落し、夕食が運ばれてきました。
手術なので、朝食と昼食は抜きだったので、やはりお腹が減っていたようです。
ハヤシライスとサラダでしたが、すぐに平らげてしまいました。
下半身は動かしてはいけないので、とかく不便でした。
とりあえず、本を読むか、スマホを見るしかないのですが、こういう時こそ普段読んでいない本を読もうということで、ひたすら持ってきていた本を読んでいました。
こういう時は、小難しいビジネス書や自己啓発本は読む気にならないので、事故物件に住んでいる芸人の松原タニシ氏の新刊「恐い間取り3」を読むふけっていました。
これはなかなか面白く、夏の夜、しかも病院で読むには最適です。
そのうちに、書評でご紹介したいと思います。
手術当日なので、入浴は禁止ですが、午後9時あたりになって、下半身を動かしても良くなったので、軽く洗顔したり歯を磨くことは可能となりました。
ただ、点滴棒を引きづりながらの洗顔や歯磨きはなかなか難しく、そのうえ右腕に点滴が入っているので、動かすと点滴針の入っているあたりが痛くなってしまい、左手で行うのはとても大変でした。
午後10時になり、消灯となり、しばらくは読書をしていました。
ただ、読書灯を点けながらの読書は、周りの患者にも迷惑かなあと思い、午後10時半ころには読書をやめて、眠ることにしました。
程なくして、僕は眠りにつき、こうして手術当日は終わったのでした。
※YouTubeもやっていますので、ぜひご覧になってください。