肥満と薄毛からの脱出!「背水の陣」に直面した中年男の日記

肥満と薄毛の話題だけではなく、趣味の読書・音楽・映画などのご紹介もしますよ。

海援隊50周年ハイブリッドコンサート日本橋三井ホール20230401 その2

先日2023年4月1日、俳優の武田鉄矢氏率いる海援隊のライブを初めて観に行ってきました。

前回の続きです。

 

pilgrim1969.hatenablog.jp

 

贈る言葉」自体、とても久しぶりに聴きましたが、ライブで聴くのは初めてで興奮しました。

武田鉄矢氏が語った、歌詞を作ったエピソードとは裏腹に、とてもさわやかでそよ風のように心地よく頬を撫でてくれるような感じでした。

「3年B組金八先生」放映時は、小学5年生でしたが、とても懐かしく当時を思い出しました。

 

曲が終わり、再び武田鉄矢氏の長いトークが始まりました。

武田鉄矢氏率いる海援隊は、「母に捧げるバラード」で一躍スターダムにのし上がり、1974年末の紅白歌合戦に出場を果たしたのですが、その翌年からなぜか人気はがた落ちとなり、コンサートをやっても、どこもガラガラ、地方の小さな会場を巡業する日々を送り、ひどい時は数人を前に演奏するような始末でした。

事務所のスタッフに給料を払うことも出来ず、印税は底を尽き、翌年1975年の年末は奥さんと一緒に居酒屋の皿洗いのアルバイトをしていたそうです。

まさに「冬の時代」が続き、半ばやけくそ気味に作ったのが、あの「あんたが大将」だったそうです。

「あんたが大将!」「あんたが社長!」「あんたが頭取!」などと、相手をひたすら持ち上げるフレーズが続く曲ですが、当時、没落した状態の中で、自分よりうまくいっていた人たちから散々自慢話などを聞かされたようです。

「わかったよ!」「あんたはスゴイよ!」「あんたが一番だよ!」という、半ばイヤミというか、悔しさを込めて、作った曲なのだそうです。

 

 

若き日の海援隊の記者会見でしょうか。

 

まあ、そんな曲ですが、スマッシュヒットとなり、僕も当時この曲を知っていましたし、同級生たちがしょっちゅうふざけた調子で歌っていたのを思い出します。

そのおかげか、映画に出演する話が持ちかけられました。

あの寅さん(男はつらいよ)で有名な山田洋次監督の1977年放映の作品「幸福の黄色いハンカチ」です。

主演:高倉健倍賞千恵子渥美清など豪華なキャストが登場する同映画ですが、桃井かおりの相手役の準主役である「花田欽也」役に抜擢されます。

北海道が舞台の同映画ですが、その時のエピソードが語られました。

武田鉄矢氏演ずる欽也は、カニを食べ過ぎてしまい、車を運転しながら激しい下痢を催してしまいます。

我慢できず、路肩に車を停め、ティッシュ箱を片手に、草むらへ突進し、排便するシーンを演じます。

ところが、山田洋次監督は、どうしても武田鉄矢氏の演技が気に入らないのか、何度もやり直しを命じます。

何度も何度も同じ演技を繰り返して、武田鉄矢氏は辟易してしまいます。

とうとう山田洋次監督は激怒して、かなり厳しい口調で、武田鉄矢氏にこう言うのでした。

「何で、ふざけて演技するんだ!大好きな恋人の前で君は情けないことに下痢を催して走り回るんだよ?そういう時は自分が情けなくて、泣きながら走り回るもんだよ!」

「観客というのは、俳優が泣きながら演技する姿を見て、笑うものなんだよ!」

武田鉄矢氏は、こういうシーンはお笑い芸人のように、ウケを狙ってふざけて演技するものだと思ってやってきたそうですが、この言葉を聞いてやっと目が覚めたのだそうです。

再び、何度も演技を繰り返しているうちに、まず高倉健氏が笑い出しました。

山田洋次監督はそれを見て、これだ!と思い、午前8時から始まったこのシーンのロケは、やっと昼過ぎにOKが出たのだそうです。

 

人気ドラマ「ダ・カーポしませんか?」で共演した観月ありさ氏からの花束

 

疲れ果て、呆然と立ち尽くす武田鉄矢氏の肩に、後ろから軽くパンチをしてきた高倉健氏が横に立ち、こう言ったそうです。

「スゲエよなあ・・・!鉄ちゃん!監督は朝からお前しか見てないようだぜ!」

「ちがいますよ!健さん!僕はきっと監督から嫌われているんですよ!だから、何度も何度もやり直しさせて、キツく怒ったりするんですよ!」

「でもよお・・・あの監督の評判聞いたけど、監督は見込みがあると思ったヤツしか、シゴかないそうだぜ?」

高倉健という人は、こうやって出来ない人間を励ましてくれる、本当に優しい人だったのだそうです。

一方、共演の恋人役だった桃井かおり氏からはこう言われたそうです。

「アンタ、犬ね」

「荒川の土手あたりで、ご主人の言うことを何でも聞いて飛び回る、バカ犬みたい」

しかし、こんなことを言われても、当時の武田鉄矢氏は全く気にならなかったそうです。

桃井かおり氏演ずる朱美が運転する車を追いかけている時に、山田洋次監督から、「飛べ!」と言われて、臆することなく、すぐに、高く積まれた草むらに頭から突っ込んだのだそうです。

武田鉄矢氏にとって、俳優としての師匠、ひいては人生の師匠と呼べる人は、「高倉健」と「山田洋次監督」だと、しみじみと語っていました。

 

長くなりましたので、続きは次回のブログで!