人事部長とのZoomでの面談を実施し、二つの提案をされました。
一つ目は、復職した後の仕事内容の話でした。
ある程度予想はしていましたが、かなり厳しい話でした。
前回からの続きです。
そして、次に出てきたU人事部長の言葉が更に僕の心と身体を緊張させることになるのでした。
「もう一つの選択肢として考えて欲しいのは、退職していただくことです」
復職のことについても厳しい内容でしたが、さすがにこれについてはとても言いにくかったらしく、少しどもり気味で声が小さくなっていました。
「当社は今年の年末の11月に上場を予定しています。それまでRさんには会社に在籍していただきます」
「12月分までは従前と同額の給与をお支払いすることはお約束します」
(どういうことなのだろう・・・)
よく話が呑み込めない中、U人事部長は話を続けました。
それは、僕たち社員が一番興味を持っていて、気にかかっているストック・オプションと持株会についてでした。
「ストック・オプションと持株会についてなのですが、本来はこれらは行使制限がかかっていて、最低3年間は行使できず、持ち続けなければなりません」
「但し、特例として、「会社都合による退職」または「定年退職」であれば、この制限を外してもらえて、すぐに行使できることになります。Rさんの場合は、「定年退職」には当てはまらないので「会社都合による退職」により、この制限を外してもらえて、すぐに行使できることとなります」
「但し、その時点で当社に在籍していることが条件です」
(ふーーん)
僕はこの話を聞いて、別に悪い話ではないのではないか、と思いました。
復職の条件は厳しいが、別に復職にこだわる必要はなく、会社に上場してもらって、ストック・オプションや持株会の持ち分を退職金代わりに現金化してもらえれば(うちの会社は退職金制度が無いのです)、それはそれでいいのではないか、そう思えてきました。
但し、うちの会社は何年も前から上場を予定していて、延び延びになっています。
本来今年7月に上場予定と聞いていたのに、いつのまにか11月の上場予定に変わっているのも気になるところです。
(本当に今年11月に上場できるのだろうか?)
僕は心配になり、こう質問しました。
「11月上場予定とのことですが、今まで延び延びになってきた経緯もあるので、今回は確実なのでしょうか?」
あと、これがまた重要です。
「あと、仮に上場が再度延びた場合の、私の扱いはどうなりますでしょうか?」
U人事部長は一瞬厳しい顔になりましたが、すぐに取り直し、こう答えました。
「1年以上延びてしまうと困るのですが、現在東京証券取引所審査中なので、上場できる確度は高く、これ以上スケジュールが延びることは無い可能性が高いと思います」
一応、自信はあるような口調でした。
そして、こう続けました。
「以上、復職と退職の二つのパターンですが、8月いっぱい休養して、今後どうするかを考えていただきたいのです。但し、8月分の給与は従前の給与の額で当社から支払われます」
とりあえず、何か質問したいことがあったら、また連絡を取り合うということで、Zoomでの会議は終了しました。
悪い話ではないかもしれないとはいえ、なんともいえない気持ちになりました。
「なんか、くさくさするから、肉でも食べに行こうよ」
妻もあまり良い気分ではないようで、僕も賛同しました。
近くのステーキ店で、ハンバーグ定食を食べながら、いろいろと思いを巡らす僕たち二人なのでした。
(次回に続く)