僕は更に産業医が行ったことをK先生に話しました。
「その産業医の先生がおっしゃるには、この休職期間中にやたら元気であったという状況が顕著でなかったとしても、過去健康だった時にそういう傾向があれば、双極性障害に当てはまるとのことでした」
ほとんど話をせず、ずっと傾聴していたK先生ですが、やっと口を開き、K先生としての見解を述べるのでした。
前回からの続きです。
考え込んでいたK先生がやっと口を開いてこう言いました。
「私の見立てとしてはですね・・・産業医の先生がおっしゃった『双極性障害Ⅱ型』というのは、ちょっとわからないです」
なんと!てっきり同調すると思っていたのですが、すんなり肯定はしませんでした。
「どのような状態が、双極性障害Ⅱ型の中の典型的な『躁状態』の状態かを判断することは意外と難しいです。ある程度、一定の期間観察することが必要です」
なるほど・・言われてみればそうだなあ、と僕は思いました。
話題を変え、新たに処方された薬であるエビリファイOD錠3㎎についての産業医の見解について話しました。
産業医は、この薬については、うつ状態を良くしてくれる薬で、とても良い薬だと高く評価していました。
3mgで処方されていますが、もう少し量を増やして様子を見ても良いのではないかと言っており、とりあえず今月(5月)いっぱい飲んでみて様子を見てみる必要があると言いました。
K先生は特に気を良くした表情は見せず、あくまでもニュートラルな表情でこう言いました。
「この薬はさほど副作用もなくうつ状態を良くする薬です」
「万が一、双極性障害Ⅱ型であったとしても、それを内包する形で効果を発揮するので、このまま服用を続けて問題ないと思います」
「ただし、3mgから量を増やす件ですが、メンタルを抑える作用があるので、あまり増やすとその効果が大きくなってしまい、良くない副作用が発生する恐れがあります」
「よって、現状のまま3mgで続けていくのが良いと思います」
次に、産業医の話した復職するための判断基準のことについて報告しました。
産業医が話したことは、①現状調子が悪くなる日は、週に1・2回程度だが、なんとか週1回に減らして抑えていく ②メンタルの調子が悪くなっても、落ち込みすぎなくなること でした。
しかし、これに対しても、K先生は疑問があるようで、こう言いました。
「メンタルをコントロールすることは非常に難しいことです」
「よって、これらの判断基準はとても難しいと思います。細かく観察して、服薬や生活習慣をコントロールしていく方が良いと思います」
なるほど・・精神科医それぞれで見解は異なるのだなあ、と思いました。
しかし、K先生の見解の方が割ともっともではないかと感じました。
次に、会社側に必要な対応について、話しました。
①午前中に調子が良く、夕方以降に調子が悪くなる傾向があるので、速やかに早退できる体制を作ったり、フレックスタイム制を検討する。
これについて、K先生は言いました。
「そうですね、確かに夕方以降に調子が悪くなる傾向はあるので、速やかに早退できる体制作りは必要だと思います」
②通勤特に満員電車は負担が重くなるので、リモートワークをうまく活用する。
「その通りだと思います」K先生は言いました。
③僕がやっていたクレーム処理業務のような、会社の矢面に立って社外の人たちに対応する仕事は、避けた方が良い。もう少し負担の軽い仕事に切り替える必要がある。
これについて、K先生は言いました。
「リラポンさんのやってきた仕事は、あらゆる仕事の中でも特にストレスを受け続ける仕事なので、確かにこの仕事を復職後もまた続けることはお勧めできません。可能であれば、もっと異なる業務に変更できることが望ましいと思います」
そして、最後にK先生はこう言いました。
「とりあえず、今回新たに処方したエビリファイOD錠3㎎や他の薬も継続していって、様子を見てみましょう。エビリファイOD錠3㎎を服用してからメンタルが落ちなくなったとのことですが、私から見てもだいぶ良くなってきたと感じています」
僕はK先生にこう言われて、とても安心しました。
次回の診察は、約3週間後の6月15日となります。
またしばらく療養生活は続くことになりました。
また、ご報告いたします。