この約2年位の間で、画家として注目されている香取慎吾の初個展「BOUM!BOUM!BOUM!」に行ってきました。
元SMAPのメンバーの一人ということで、芸能人が趣味でやっている道楽という印象しか持っていなかったのですが、あのルーブル美術館に展示されたと聞いて、とても気になっていました。
江東区の豊洲駅から、ゆりかもめに乗って「市場前」という駅で降り、ちょっと歩くと平屋の巨大な倉庫風の建物があり、そこが展示場でした。
最初に、コンサート会場のような所に案内され、指定されたシートに座り、約10分間香取慎吾の個展のプレゼンテーションのような映像を観ました。なんとも不可思議な芸術家らしい、訳のわからない、香取慎吾らしい内容でした。
それが終わると、膨大な数の香取慎吾の作品が展示されている空間に移動し、展示場A⇒展示場B⇒展示場Cという流れで2時間以内で作品を鑑賞するというシステムになっていました。
本当におびただしい数の香取慎吾の作品が展示されていました。
印象としては、「アメリカン・ポップ」という感じのポップで抽象画的な作品がほとんどというか、ほぼ全てでした。ちょっと語弊があるかもしれませんが、ピカソを彷彿とさせる印象がありました。
その中で、私が特に印象に残った作品をご紹介します。
この作品は、「Naketekurukara Waraketekuru」というタイトルなのですが、サブタイトルに「2016 Tears from Laughter」と書かれていて、香取慎吾の説明が書かれていました。「辛いことがいっぱいあって、すごく泣いて、すると、すごく笑えるんですよね。なんでこんなんなんだろうって。本当の底まできたら笑えてくるから、やっと次に進むことができる。いっぱい泣いて、いっぱい笑いましょう。」
2016年といえば、SMAPが解散へとひたすら突き進んでいた年。
事務所とのいざこざや、メンバー間の確執など、マスコミを連日賑わせていました。
香取慎吾もかなり辛い思いをしていたのだろうと、この絵と文章を見て、感慨にふけりました。
こちらは、「NO」というタイトルの作品で、同じく2016年の作品です。「イエスマンにはなりたくないと思っていました。近頃、ようやく、ノーと言えるようになってきました。」と書かれていて、あのジャニーズ事務所にいたときは、ロクに自分の意見も言えない毎日を送っていたことが容易に想像できました。
さぞかし、鬱屈した毎日を送っていたのでしょうか。僕たち一般のサラリーマンと何ら変わりはありませんね・・・
「RigiRigi No Life」というタイトルですが、コメントはこんな感じでした。「まあ、ぎりぎりの人生ですね。よくここまで来ました。褒めてあげたいですよ。みんなぎりぎりのところで踏ん張ってるんだ。だから、人生は素晴らしい。ありがとう、君。これからもよろしく、俺。」
香取慎吾のこれまでの人生を端的に表している言葉ですね。見た目は華やかな世界ですが、実は内面はいつもぎりぎりの状態で、追い詰められていた心境だったのでしょうか。
香取慎吾の作品は、全体的にはポップで底抜けに明るく、楽しいのですが、ところどころにこのようなシニカルな作品がまぶしてあるのが面白い。
最後の展示場Cは、撮影禁止だったので、撮影できませんでしたが、最も見どころのある作品が展示されていました。
香取慎吾は、ものすごいファッション・マニアで、服だけを保管している家を別に持っているほど、ものすごい数の服を保有しているそうですが、彼が所有している一部の服をコラージュした作品はまさに圧巻でした。
最後に実際の香取慎吾の片腕の模型と小指で握手した写真を芸術的に編集した写真をプレゼントされました。
彼の作品は、なかなかのものです。
元SMAPという先入観を差し引いても、素晴らしい作品でした。
個展は6月16日までやっているので、興味のある方はぜひ観にいらしてください!