前回は左眼の手術を終えてからの経過のお話をしました。
診察から3日後の、7月17日月曜日の起床後に、左眼の中を浮遊する新たな「飛蚊」を発見して以来、また飛蚊症との闘いの日々が始まりました。
せっかく手術をしてもらって、飛蚊症から解放されたと思っていた矢先の、この出来事は、手術をしてもらう以前より一層、精神的な焦燥感は高まっていました。
ちょっと大きめの、見え方の体感としては2~3㎝くらいの輪(リング)状の形をしている、その黒い浮遊物は、左眼の中をあちこち漂うようになりました。
飛蚊症を経験した方はわかると思いますが、飛蚊症というのはいったん気になると、いつまでも気になるようになり、何をやっていても、飛蚊症のことばかりが気になってしまいます。
何故ならば、目を開けていれば、本を読んでいようが、スマホを見ていようが、人と話していようが、見えてしまうからです。
大きな不安感に駆り立てられ、僕は二日後の7月19日に、再び深作眼科を訪れました。
この時の診察は、中原先生ではなく、深作先生以外で二人いるうちの一人の鈴木先生でした。
メガネをかけた、柔らかい物腰の、優しそうな40代くらいの男性の先生でした。
「細隙燈顕微鏡」(何と読むのか忘れましたが)と呼ばれる、かなり微細な物でも見える高性能の顕微鏡を使って、かなり細かく左眼の中を見てくれました。
そして、こう言われました。
「大丈夫ですよ。しばらく経てば、消えてなくなりますよ。手術後間もない時期ですので、いろいろなものが出てくる時期です。もうしばらく様子を見てください。」
「そんなものか・・」と思い、その日は納得して、帰宅し、先生の言ったとおり、しばらく様子を見てみることにしました。
しかし、その2日後の7月21日になると、起床後に、細かい粒状のものが連なった帯状の浮遊物が新たに発見されました。それは幸いしばらくしたら、出てこなくなりました。
でも、お昼過ぎ頃になると、長いミミズ状の浮遊物が頻繁に現れるようになりました。結構長い、見え方の体感としては、真っすぐに伸ばすと15~20cmはあるのではないかと思われ、先日から出てきたリング状の浮遊物と一緒に、左眼の至るところを浮遊するようになりました。
そのうちに、1cm程度の線状の浮遊物、少し大きめの点状の浮遊物などが2・3ほど現れ、みんなそろって浮遊するようになりました。
まさに、鈴木先生が言うとおり、いろいろなものが出てきました。
翌日22日になると、リング状の浮遊物と長いミミズ状の浮遊物は合体して、左眼の中全体を漂うようになりました。
そして、たまに1cm程度の線状の浮遊物が現れるようになりました。
こうなると、不安感はかなり高まってきて、何をやっていても気になってしまい、集中できません。
鈴木先生には、「大丈夫ですよ。しばらく経てば、消えてなくなりますよ。」と言われましたが、本当にそのうちに消えてなくなってくれるのか、とても心配になってしまいました。
翌23日の早朝、リング状の浮遊物と長いミミズ状の浮遊物は分離されていることを確認しました。それ以来、長いミミズ状の浮遊物は出てこなくなり、どうやら消失してくれたようでした。1cm程度の線状の浮遊物も出てこなくなりました。
ところが、リング状の浮遊物はいつまでも眼の中を漂い、眼を動かすたびに動くので、とても煩わしい気分でした。
妻にもこのことを話し、僕たちはこのリング状の浮遊物のことを「フライ」と名付けました。まあ、黒い浮遊物なので、「蠅」=「fly」と呼んだわけですが、本当に見ていると、蠅のようにあちこちを飛び回る感じです。
それから数日間、長いミミズ状の浮遊物や1cm程度の線状の浮遊物のように、消えてなくなることを期待しましたが、「フライ」は消えてなくなるどころか、以前にもまして、事あるごとに頻繁に現れるようになり、次第に僕の精神を蝕んでいきました。
非常に耐えがたくなり、また深作眼科を受診することにし、電話して予約を取りました。
27日の朝、8日ぶりにまた深作眼科を訪れました。
今度も中原先生ではなく、鈴木先生の診察となりました。
実は、右眼の見え方も、芳しくなく、老眼のように近くが見えづらくなったので、その件も診てもらったのですが、こちらは乱視の状態ではあるが、視力はきちんとあり(裸眼で0.7)、白内障の兆候もないとのことでした。
問題の左眼ですが、前回に続いて、この窮状を切実に訴えたせいか、かなり細かく見てくれ、細かく説明してくれました。
先生の説明は以下の通りでした。
①確かにその浮遊物は確認できました。これは血の塊などではなく、硝子体繊維のカスのようです。
②手術後に残した硝子体に引っかかったり固定されたり吸収されれば、見えなくなると思いますが、それには2~3ヶ月は様子を見る必要があります。それが最も良い選択肢だと思います。
③横になって寝たり、うつぶせになって寝れば、そのカスが周りの硝子体や水晶体の近くの硝子体に引っかかりやすくなる可能性があるので、試してみてはいかがでしょうか。
④また、眼を洗うような手術をすることも出来ますが、正直ちょっと短期間にやり過ぎであり、お勧めは出来ません。③の方法を2~3ヶ月くらい試してみて、それでも解決できず、我慢が出来ない場合に、また考えてみてはいかがでしょうか。
先生の言われたとおり、さっそく横になったり、うつぶせになって寝てみました。しかし、とてもじゃないが、肩や背中などが痛くなってしまい、とても眠れたものではなく、これを続けるのはかなり苦痛で、困難であることがわかりました。
朝起きて、「フライ」が出てこないことを祈りましたが、やっぱり起きて目を開けてしばらくすると、しっかり出てきました。
僕は本当に途方に暮れてしまい、これからの人生、生きていけるのだろうか?と、本気で落ち込んでしまいました。
何も手につかず、しばらく考えた末、やっぱり中原先生に再度手術してもらうしかない!という結論に至りました。
そして、「背水の陣」「四面楚歌」の追い詰められた気持ちで、深作眼科に電話し、手術をしたいことを告げました。
手術を考えているのなら、来週31日月曜日の朝一番で来てください、と看護師に言われ、検査と診察の予約を取りました。
そして、前日の晩、「このままでは本当にヤバい。明日中原先生に必ず手術してもらえるよう承諾してもらおう・・いや、中原先生は必ず再手術を約束してくれるはずだ・・」こう、必死に自分を慰めながら、眠りにつくのでした。
(次回に続く)
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