肥満と薄毛からの脱出!「背水の陣」に直面した中年男の日記

肥満と薄毛の話題だけではなく、趣味の読書・音楽・映画などのご紹介もしますよ。

男はつらいよ【シリーズ第1作目】

年末に、最新作「男はつらいよ50」を観て、感動し、「よし!第1作目から順番に観てやるぞ!」と心に決め、映画を見終わったその場で、この最新ブルーレイを購入し、家で観てみました。

最近、山田洋次監督と横尾忠則氏とのトラブルが取り沙汰され、とても残念ではありますが、寅さんの作品自体には罪はないということで、この作品を観た率直な感想を述べたいと思います。

 

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①とにかく「ダメ人間」

寅さんという人は、現代の日本の社会(昭和44年当時も同じだったでしょう)で言えば、かなりの「ダメ人間」に値する人物であることは間違いなく、大方の人は納得するでしょう。

度が過ぎるイタズラ少年で、親にこっぴどく叱られて、中学校も卒業することなく、家出してしまい、そのまま20数年ほど、テキヤ暮らしで生きてきた寅さん。

帝釈天の神輿を担いで、キップよく帰ってきて、おいちゃん・おばちゃん、近所の人たちに、得意の流暢な挨拶口上を並べて、皆を感心させます。

「寅は立派になって、帰ってきた」と。

しかし、良かったのはそこまでで、翌日妹のさくらのお見合いに、おいちゃんの代わりに参加したときから、寅さんの「地」が出てしまい、完膚無きまでにぶち壊し、さくらに大恥をかかせます。

おいちゃんと取っ組み合いの喧嘩をし、隣の工場の社長や労働者とも揉め事を起こし、「寅さんて、どうしようもない人間だな。居ない方がよっぽどいいんじゃないか」と、観ていて腹が立ってきたりしました。

でも、こんな寅さんがなぜ1996年まで28作もの作品を残して、日本中に受け入れられてきたのか?

いろいろな方がいろいろな見解を述べていると思いますが、やっぱり僕は真面目な日本人の「ひそかな希望」というか、「欲望」なのではないか、そう見ています。

大方の日本人は、昔から、他人や世間体を気にし、常に周りの空気を読み、同調圧力が強く、「真面目」「努力」を美徳としてきました。

「真面目に勉強し、良い学校、大学に入り、一流企業や官公庁に勤めて、出世する」

これが、日本人としての、あるべき生き方であり、エリートコースと考えられ、僕もそう教育されてきました。

寅さんは、その対極にある人物です。

現代も昔も息苦しい日本社会において、寅さんは周りを一切気にせず、学歴や世間体も気にせず、自由奔放に生き、良くも悪くも人間味あふれた性格に、真面目な日本人たちは、自分たちの反動としての「希望」「欲望」「羨ましさ」を見ていたのではないでしょうか。

 

②意外と博学で、下ネタ満載だが、一流の笑いのセンス

さくらのお見合いで、寅さんがぶち壊すシーンはかなり面白く、爆笑ものなので、この部分は必見です。

一流ホテルで一流洋食コースを食べる寅さんは、マナーなんて微塵もなく、ナイフとフォークが上手く使えず、ステーキを相手の男性の顔にふっ飛ばしてしまったりします。

でも、『「尸」に水と書いて、尿(にょう)と読む。「尸」に米と書けば、これは糞(くそ)だ。じゃあ、「しかばね」に比と書いて、なんで「へ」と読むのか、それは屁が「ピー!」って出るからさ!』と流暢に出たギャグにはかなり感心しました。

他にも寅さんはいろいろなギャグともなんともつかぬことを言っていますが、昨今の叩いたりブッたりするだけの体力勝負系のお笑い芸人と違い、なるほど!と思わせる博学なセリフを言ったりしています。

 

③最初から不器用だった寅さんの恋愛

シリーズ一作目から、寅さんは恋愛をしますが、一番最初のお相手は、柴又題経寺の御前様の幼馴染の娘です。

池の中を、御前様の娘が乗る船を、寅さんが漕ぎながら、楽しい時間を過ごしたり、娘が寅さんを誘って、競輪場に行ってギャンブルをして、近くの安酒場で楽しく酒を飲んだり、とても良い雰囲気になります。

娘をお寺まで送ったあと、寅さんは有頂天になって、柴又の参道をスキップをして歌いながら踊り歩きます。

翌日も会う約束をしていたので、娘のいるお寺に行ってみると、そこには見知らぬ若い男と楽しく話している娘の姿が・・・

ちょうど後ろにいた御前様に「親戚の方ですか?」と聞いてみると、「もうすぐ親戚になる男だ」との返答。

そこへ、寅さんに気がついた娘が「あら、寅さん、来てたの?」と何も悪びれる様子も無く、聞いてくる始末。

寅さんはこれで大恥をかいて、旅に出てしまいます。

まあ、よくあることですが、映画の中とはいえ、女というのは何を考えているのかわからず、残酷だなあと改めて思いました。

 

かなり、長くなってしまいました。

これから、ゆっくりと寅さんのブルーレイをコレクションし、見続けていきたいと思います。