肥満と薄毛からの脱出!「背水の陣」に直面した中年男の日記

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市川海老蔵「プペル」 新作歌舞伎を観て

先日、2022年1月11日、市川海老蔵氏の新作歌舞伎「プペル」を新橋演舞場で鑑賞しました。

「プペル」はご存知の通り、お笑いタレントで作家の西野亮廣氏のベストセラーとなった絵本の作品で、映画化もされ、ミュージカルでも上演されました。

今回、歌舞伎化されるということで、どんな作品になるのか、とても楽しみでした。

あまり歌舞伎には詳しくない僕ですが、僕なりの感想を簡単に述べたいと思います。

 

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僕が観た「プペル」は、堀越勸玄君バージョンです。

①社会状況の酷似

脚本の時代設定は、18世紀の江戸時代の天明年間です。

浅間山が噴火して、その灰が黒煙となって、江戸の町を覆いつくし、その後数年経っても、空が晴れることは無く、いつしか江戸の人たちは空を見上げることも無くなり、作物も育たなくなり、人々の心は次第に荒廃していきます。

そのような中、幕府の「汚職」老中で有名な田沼意次が、これを利用して、江戸の人たちに「お救い米」を配って、人々の心を巧みに操ろうとします。

現代も、「コロナ」という「黒煙」に世界中が覆われ、同じように人心は荒廃し、不安に覆われた世の中となっています。

そのコロナを利用して、人気取りに励む政治家や資産家たち。

また、つい先日、南太平洋のトンガで起こった海底火山の大噴火は、この「プペル」の状況をまさに再現していました。

江戸時代に実際起こった災害を元にしていますが、現代にも通づるものがあり、なかなか興味深かったです。

 

②平易な言葉で語られる歌舞伎

今回の作品は、役者の話す言葉はほぼ現代語になっています。

元々の作品が江戸時代など昔の日本が舞台ではなく、海外を舞台にしていることも影響していると思います。

通常の歌舞伎ですと、役者は昔の言葉や口調で話すので、難解で分かりづらかったりしますが、本作はすっと頭に入っていきました。

原作を歌舞伎にアレンジするのに、市川海老蔵氏も西野亮廣氏もとても苦労したそうですが、そのことは会場で販売していた筋書に書いてありました。

すでに終演してしまったので、手に入るかどうかわかりませんが、興味深いエピソードなど書いてありますので、もし手に入れば読んでみてください。

 

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歌舞伎「プペル」の筋書の表紙です。

 

市川海老蔵・堀越勸玄ら役者たちの素晴らしい演技

この作品は、「護美(ごみ)人間」プペルが主人公で、市川海老蔵氏が演じています。

市川海老蔵氏は、「プペル」のほかに、「心臓」「熊八」「田沼意次」と全部で四者の役の演技を受け持っていますが、どれも素晴らしい演技で、魅了されました。

「プペル」は市川海老蔵氏らしくない、「ボーっとした」「頼りなさげ」「純真」なイメージの登場人物ですが、とても自然に演じていました。

それに対して、「悪代官」である田沼意次は、いつもの市川海老蔵氏らしい、風格のある冷静で落ち着いた切れ者のイメージです。

「熊八」も、キレのある口調の江戸っ子っぽい雰囲気です。

「心臓」は、申し訳ございませんが、どこで出てきたのかよくわかりませんでした。

しかし、どれも、全く別の人物が演じているのかと思うくらい、自然な演技でした。

堀越勸玄君は、プペルの親友のような「はる」という子役で、日替わりで、姉の市川ぼたんさんと交替で演じていました。

去年の正月・2018年の正月と勸玄君の演技を観てきましたが、かなり成長しているのがうかがわれました。

全く臆することない堂々とした演技で、以前は少しぎこちなかった喋りも、なかなか流暢になっていました。

最後の熊八扮する市川海老蔵氏と並んで、睨みを利かせてポーズをとる仕草を、オペラグラス越しに見ましたが、なかなかの歌舞伎役者という感じでした。

 

幕が下りた後の、カーテンコールは実に6回も続き、お客さんは皆総立ちで拍手をしていました。

当日1月11日は、天赦日と一粒万倍日他重なった大吉日だったのですが、市川海老蔵氏も自身のブログで、「天赦日の大吉日らしい終わり方だった」と言っていました。

 

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カーテンコールは6回も続き、会場は拍手喝采の嵐に包まれました。(市川海老蔵アメーバブログより)

 

残念ながら、内部でコロナ陽性者が出てしまったため、1月19日と千穐楽20日は中止となってしまいましたが、コロナに負けず、今後の活躍を期待しています。

 

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