肥満と薄毛からの脱出!「背水の陣」に直面した中年男の日記

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「君たちはどう生きるか」(宮崎駿監督作品)を観て

宮崎駿監督の実に10年ぶりとなる作品「君たちはどう生きるか」を観てきました。

宮崎駿監督の自伝的なファンタジー作品ということで、少年時代に母から手渡された同名の小説である「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著)からタイトルを借りたものとのことです。

 

現在、上映中なので、この後お読みになる方はご注意ください。

 

すでにネットでは観た方の批評なども載っていて、賛否両論あり、中には「わけが分からない」「意味が分からない」などと否定的な意見もあるようですが、私個人の感想としては、この映画は「当たり」でした。

 

宮崎駿監督お得意のファンタジックで幻想的な脚本と映像に包まれながらも、監督がこの映画で訴えたかったことが、端々にふんだんに散りばめられていました。

 

確かに「不思議の国のアリス」のような雰囲気と構成で、現実的な内容を好む方には「わけが分からない」として、理解されないのは必至でしょう。

 

簡単ですが、僕としては以下の二つが、宮崎駿監督の訴えたいことなのだろうかと感じました。

 

①大切なもののために人はどう考え、行動するか?

主人公の眞人(まひと)は、戦災の火災で母を失い、その死を受け入れらないまま、青年実業家である父と一緒に東京を出て、亡き母の実家に引っ越します。

そこには、母と瓜二つの母の妹:夏子が待っていて、眞人を温かく迎えてくれます。

しかし、眞人は夏子を受け入れられず、他人行儀なまま、心を許しません。

そのような中、青サギに扮する謎のサギ男が現れ、眞人をしきりに挑発し、消えてしまった大叔父が建てたと言われる、廃墟となってしまった大きな謎の屋敷に引きずり込まれます。

そして、ほぼ同時に夏子も消えてしまうのでした。

心の中で反発していた夏子が消えてしまい、眞人は夏子を見つけて救わなければならない、と思うようになり、敵対していたサギ男に導かれ、時間と空間が歪み、夢と現実が入り混じったような不思議な世界へと迷い込んで、大きな冒険を経験していくのでした。

この眞人の行動は、とても不可解で無謀とも思えることもありますが、ここで宮崎駿監督は、火災から母を救えなかった自分を責め続けるトラウマと向き合い、どう解決していくか、どのように行動していくか、一つの例として、観客の一人一人に提案し、突き付けているように感じられました。

 

映画のパンフレットです。上映された画像が主体ですが、宮崎駿監督の「長編企画覚書」がなかなか興味深かったです。

 

②綺麗事ではない、本当の友情や愛情とはどういうものか?

眞人は、現実世界を離れ、生と死が表裏一体となった不思議な世界にたどり着きます。

そこで、サギ男と共に、様々な困難に立ち向かい、乗り越えながら、人間のようになったインコたちに幽閉されていた夏子を見つけます。

妨害されながらも、ベッドに横たわる夏子を起こし、一緒に逃げようとしますが、夏子は以前とは全く異なる恐ろしい形相で、「あんたなんか嫌いよ!大嫌い!私は行かないから!」と拒絶します。

以前はとても優しい表情で、眞人を気遣い、労わってくれた夏子とは別人になっていました。

しかし、実は夏子も、心を許さない眞人に対して、内心はこのようなネガティブな感情を持っている、宮崎駿監督はこのような人間の、表面上の綺麗事ではない深層心理を描きたかったような気がしました。

そこへ、眞人は、「お母さん!夏子お母さん!」と叫び続け、夏子を救おうとします。

次第に夏子の心も氷解し、一緒に行動を共にすることになります。

サギ男も、最初は眞人と敵対し、お互い仲が悪かったにもかかわらず、様々な困難を一緒に乗り越えていくうちに、いつしか団結心が芽生え、眞人がインコに捕まって、今にも殺されそうになっていたところを間一髪で救います。

そして、最後のシーンで、「じゃあな!友だち!」と眞人に言って、飛び去っていきます。

綺麗事ではない、一筋縄ではいかない、人間関係というものを、宮崎駿監督は描きたかったのではないか、そう感じました。

 

簡単ではありますが、以上が、最初に映画を観た僕の感想です。

その人の好みにもよるかと思いますが、本当に考えさせられる面白い映画だと思いますので、少しでも興味があったら、観てみることをお勧めします。

 

Blu-rayソフトなどのパッケージが発売されたら、ぜひもう一度観て、改めてご紹介したいと思います。