先日2023年9月2日、俳優の武田鉄矢氏率いる海援隊の横浜関内ホールで行われたライブを観に行ってきました。
前回の続きです。
「人間と染物」の話が終わり、なかなか含蓄のある良い話でしたが、他にも面白い話がありましたので、いくつかご紹介いたします。
山形県酒田市市民会館でのライブで、12人しかお客さんが入らなくて、お互いにメンバー紹介し合ったというような話は、前回の日本橋三井ホールでのライブの時にも話しましたが、その別バージョンの話がありました。
実は、12人しか入らないようなライブでしたが、きちんと前座のアーティストがいて、歌ったのだそうです。
いかにも売れて無さそうな当時主流だった「4畳半フォーク」の典型のような超貧乏そうな若い男のフォークシンガーでした。(わざわざ実名を言っていました)
武田鉄矢氏は、「貧乏なフォークシンガー」という風情というか。その有り様を、そのまま前面に出してアピールするように歌う姿が大嫌いだったそうです。
これは吉幾三氏の時も言っていましたが、何かそういう「貧乏の惨めさ」というのでしょうか、それをそのまま出してアピールするのが嫌いなんでしょうね。
そのフォークシンガーは、まず1曲目に「トドを殺さないで」という、意味不明な名前の曲を絶叫して歌いました。
(そんなわけのわからん歌、外で一人で歌って来いよ【武田鉄矢氏のつぶやき】)
次に歌った曲は、「イナホ2号」
当時、狩人のいうデュオの「あずさ2号」という曲が流行っていましたが、そのパクリの恋愛ソングと思いきや、おじいちゃんが危篤と聞いて、特急列車に乗って向かう内容の曲でした。
これもとてもイヤだったそうです。
(そんな身内ネタの歌、身内の中で歌ってくれよ【武田鉄矢氏のつぶやき】)
2⃣ 近所の貧乏自慢をして回るおばさんの話
自分の家の貧乏で悲惨な話を、ご近所の家に押し入って話して回る、やっかいなおばさんがいたそうです。
ある日、母がミシンで作業をしているところへ、また例のおばさんがやってきたそうです。
そして、また例によって、母のそばで思いっきり自分の家庭のネガティブな話を洗いざらい話し始めました。
母は、何も言わず、無関心な感じで作業を続けていました。
そのおばさんは、話し終わって気が済むと、今度は隣の家に行って、またその同じ話をし始めました。
母はこう言ったそうです。
「あの人は、貧乏のツラさをそのままに、本当の話をしている」
「だから、あの人の話はつまらないんだ」
「オトナというのは、本当のことを言ってはダメなんだ」
「いかに、そんなツラいことを、面白おかしく話せるか、それがその人の価値を決めるんだよ」
この二つの話を聞いて、思いました。
武田鉄矢氏が、貧乏のツラさや惨めさを前面に出してアピールするのが大嫌いなのは、やはり自分のお母さんの考え方の影響なんだなあと。
「いやあ、話ばっかりになってしまって、すみません」
「でも、昭和が遠くなり、令和の世の中になりましたが、とても厳しい、なんとなく不穏な世の中になってきました」
「こんな世の中を、これから生き抜いていく若い人たちに、エールを送りたいと思います」
そして、最後の曲「新しい人へ」の演奏が始まりました。
長くなりましたので、続きは次回のブログで!
次回は最終回となります。