精神科医で作家の樺沢紫苑氏の「人生うまくいく人の感情リセット術」を読みました。
氏は、精神科医ですが、脳科学にも精通していて、最新の脳科学情報を駆使した新しい仕事術を紹介する本を多く出版しています。
本作も、最新の脳科学情報を元に、日頃「苦しい」と感じている事柄を、いかに「楽しい」に変えるか、具体的な方法を提案しています。
私が感じたことを簡単に箇条書きにまとめてみました。
①「苦しみ」の先には、必ず「希望」がある
オーストリアの精神科医、フランクル氏が、第二次世界大戦中に、ナチス・ドイツ時代の強制収容所での地獄のような体験を紹介しています。ユダヤ人のフランクル氏は、戦前はかなり裕福な精神科医で、家族に囲まれて、とても楽しい日々を送っていたそうですが、戦争が始まると全てが一転し、全てを失い、強制収容所に押し込められます。
周りの多くの人たちが絶望して死んでいく中で、フランクル氏が最後まで生き残ったのは、絶望の果にこそ、暗闇の中に以上の希望の光が届けられることを信じていたからだそうです。
今、苦しくても、100%の苦しみは存在しない。氏はそう訴えています。
②他人と比較するよりも、「過去の自分」と比較しよう
「苦しい」をよく口にする人は、よく他人と比較することが好きなようです。
「同僚が課長に昇進したのに、自分には声がかからない」「同級生はみんな年収500万円を超えているのに、自分はまだだ」「同僚のプレゼン能力はすごいが、自分はその足元にも及ばない」・・・そのような比較をして、自分の短所を嘆き、勝手に自分で落ち込みます。
しかし、樺沢紫苑氏はこう言います。
どんなに自分が著しく成功し、大きな成功を手にしても、必ず上には上がいますので、永久に劣等感から逃れることはできません。
ネガティブな心理状態の人がするべきことは、「過去の自分」との比較だそうです。
「確かに今の自分は安月給の20万円だが、去年は18万円で、2万円は増えている」
「TOEIC300点だが、前回よりも30点アップしている」
「今日も残業。昨日は終電ギリギリだったが、今日は午後10時は帰れる」
など、現在の状況は決して良いとは言えなくても、過去の自分と比べれば良くなっていることがわかり、自己成長していることがわかり、苦しくなくなるのです。
③「今ここ」に集中する
2011年3月11日の東日本大震災では、多くの人が帰宅難民となり、不安に苛まれたことと思います。私もその一人でした。
樺沢紫苑氏は、ここで、友人の話が紹介します。
友人は、同僚のアメリカ人のボブと帰る方向が同じなので、一緒に帰ったそうです。その間、友人はとても不安になり、「明日は出勤できるのだろうか?」「震源地の方は今大丈夫なのだろうか?」と心配事を口にしたそうです。
その時、ボブはこう答えました。
「先のことは考えるな!「今」にフォーカスしろ」
ボブは元米兵で、その訓練の一環で、サバイバル・テクニックを学んだそうですが、これはまさに米軍直伝「サバイバルの心理テクニック」だそうです。
先のことを考えても何のメリットもなく、いたずらに精神力や体力を消耗するだけだそうです。
それよりも、「今、何をするべきか?」「今、できることは何だろう?」と考える方が、よっぽど不安や焦りといった感情をリセットできるということです。
④「なんくるないさ」「ケ・セ・ラ・セラ」
先の例の通り、「不安」のストレスとは、起こってもいないことへの取り越し苦労であって、考えなければ発生しないものということです。
「無」から勝手に自分でストレスを作り出していると言えます。
できることを全てやったなら、先のことを考えても仕方ない。
「なんとかなるさ」の意味である沖縄の方言「なんくるないさ」、スペイン語の「ケ・セ・ラ・セラ」とつぶやくと効果があるのではないのでしょうか。
⑤自分へのご褒美でモチベーションアップ
自分にご褒美をあげることで、どんなに「苦しい」状況でも、モチベーションはアップするのだそうです。
イチロー選手は、2009年の200本安打達成の時、フランク・ミュラーの高級時計を自分へのご褒美として、購入しました。
2006年のワールド・ベースボール・クラシックでは、チームが苦境に立たされた時、高級時計を衝動買いして、ご褒美の「先渡し」した後、チームを勝利に導いたそうです。
氏いわく、いかにもモチベーションが高そうなイチロー選手でさえ、自分にご褒美をあげて、モチベーションを高めていたそうです。
一般人の私たちだったら、なおさらですよね。
【まとめ】
樺沢紫苑氏は、著作も多数で、YouTube動画「樺チャンネル」も多数公開していますが、繰り返し述べていることがあります。
本作でも繰り返し述べていますが、
①「今」を生きる。
②過去と他人は変えられない。
まるで、「禅」のような文言ですが、実はこれらが、様々な艱難辛苦が待ち受ける人生をうまくやり過ごしていく最良の考えなのかもしれません。
私も50年生きてきましたが、まさにこれらのことを実感しています。
そして、これからもこの2つの文言を胸に、残りの人生をやり過ごしていこうと思っています。